アイアンが持つ優雅なオーガニックライン
力強さと優しさを秘めたアイアンの魅力を
インテリアの仲間に加えてみましょう。
アルゴンでのプラズマの迫力と
仕上がるアイアンの主張は
自分が求める以上の美しさを作ります。





 簡単 Welding

Weldingの入門は簡単で実用的な物を作ってみると楽しめます。
U字型の金具とL字型の金具を1点溶接した
簡単な仕組みのスプレーホルダーです。
3mm×13mmのフラットバーは小物作りに適した基本アイテムです。
折り曲げも万力があれば大丈夫です。




 

パイプの端材を並べて溶接したペン立て
アイアンは重いのでペン立てには最適です。
ドライバーを立てても倒れません。
端材BOXを眺めていると
9mm、15mm、20mmと捨ててしまう
パイプの切れ端がいくつかあり、
おもしろいアイデアが浮かんできます。
ベースは3mm×50mm程度のフラットバーを
グラインダで自由に丸みを付けて土台にします。
どんなペン立てができるかは
その場の雰囲気次第です。
ボール盤脇のドリル立てにはとても便利、
小さい歯はどこかに行ってしまうから
ここに挿しておけば安心。
アイアンの重さは安定です。




溶接の種類
アーク溶接


溶接棒を使った基本的なWelding。
溶接棒が溶け出して2つの鉄をくっつける。
アークがうまく出ない時や、製作物に溶接棒がくっついて取れなくなるやっかいな溶接。 溶接機は安価だが、操作に熟練が必要。火花 もたくさん出るし、スパッタ(溶けて飛び出す鉄の塊)の飛び散りもすさまじい。



セミオート溶接



スイッチを押すと0.8mmの細い溶接棒が自動的に出てくるので、初心者でも扱いやすい溶接。
溶接機は機構が複雑になる分やや高くなる。100Vの家庭用電源でも9mmの角棒くらいなら何とか溶接できる。 さらにアルゴン+CO2ガスを同時に使うと1 万度にも達するプラズマアーク放電が得られ、綺麗な仕上がりが期待できる。
MIG 溶接と呼ばれる。 普通のアーク溶接と同じで火花やスパッタが飛び出す。スパッタは多いかも知れない。 MIG溶接ならスパッタはかなり少ないが、飛び出るとサイズは大きい。

TIG溶接



タングステン電極によるアーク放電で、製作物の鉄同士を溶かしてお互いを融着させるという溶接棒を使わない変わった溶接。
溶接機も高価だが、テクニックも半端じゃない。その分仕上がりの美しさは言うまでもない。
アルゴンガスを使うので、電極の先のプラズマ放電は温度も光も別世界になる。
真っ赤に溶けた鉄が躍動する様を見る時、小さな空間に宇宙が広がる錯覚を覚える。
火花も全く出ない静かで美しい究極の溶接。 Lapinでは飾りパネルのフレームや掲示板のフレームにTIG溶接を使用し、スマートな仕上がりを出しています。





 スツール型スタンド



5mmベニアの上にタイルを並べてみました。
フレーム枠は21mmフラットバー
タイル厚は8mm+ベニアが5mmで、
うまい具合にタイル厚がクリアします。
並べてみると、円形枠は4角のタイルがうまく収まらない。
1つ1つグラインダで台形に加工して並べる楽しい作業。
スツールといってもサイズは250φ×320mm高で
座るには厳しいサイズ。
花瓶や鉢植えを置いてもいいし、
そのまま飾ってもいいのかな?

スクロール曲げの3本脚スツール
4.5mm×13mmフラットバーは
しっかりとした脚になります。
3本足を中央で溶接して
円形のフレームで天板を作ると
スツールスタイルの多目的スタンドができあがります。
ベニア板の天板を置いてみたけれど、
どうもしっくりこないので、



 450mm丸棒工作・・・プランタースタンド


450mm長の6φ丸棒。工房で一握りの束を頂いた。
まずは丸く丸めてみます。
2πrの公式が頭に浮かぶ、
完成するリングのサイズは3分の1の小さな輪です。
Sの字にスクロールするとこれまた小さいな。
浮かんだイメージはプランタースタンド。
スクロール金具を3つ作り、
3脚のプランタースタンドができあがりました。
鉢は5 号鉢がうまく収まります。
しかし、脚が50mmも外に出っ張ると邪魔だし、
水受けが収まらない。
ところがお花たちは鉢のサイズよりどんどん大きくなるから、
この出っ張り具合が意外と好評を得る。




Lapin での溶接機


Lapin では100V 溶接機のSUZUKID のアーキュリー120 を使用
80A 程度の溶接電流が期待できる。さらにSHU200 で10%昇圧している。
やはりパワー不足は確かで、アースラインを強化し、
アースポイントを工夫することで大きく改善している。
逆に薄板溶接では安心して作業出来る。MIG 溶接も可能。


中原工房さん(http://nakahara-koubou.com/)
ではデジタル溶接機でアーク溶接、TIG 溶接ができる。




鉄の切断
棒状の鉄材を切断するにはグラインダでも切断できますが、
直角の切り口を得るには専用の切断機が必要です。
比較的安価に入手できる切断機は
高速切断機・チップソー・バンドソーがあります。
高速切断機はグラインダと同じ方式で火花が沢山でますが、
価格が安いので導入が容易です。
チップソーは丸鋸と同じでスパッと綺麗に切断できる
頼もしい工具で比較的安く販売されています。写真 →→→
火花が強力に飛び散るため、メガネ着用は絶対。
安全性と切断面の綺麗さを誇るのはバンドソーです。
火花が出ないので室内でも安心して利用できます。
ただ、お値段は数倍高くなります。
アイアンワークでチップソーに目盛りとストッパーを作ってみました。
同じ長さの材料切断が多いため、ストッパーがあるととても便利です。 通常付属していないので自分で作るしかありません。




 ロートアイアンのヨーロッパ風流し台

  1200幅の大きな流し台の製作。 内心できるかどうかの大仕事。
こんな時はなるべく多くの人に話して自分を追い込みます。
強度を重視する時はしっかりとした溶接機が必要です。
家庭用の溶接機ではパワー不足は間違いない。 組立の空間も充分ないと精度が出ない。
このようなことから今回は中原工房さんのスペースを お借りしました。
   (http://nakahara-koubou.com/)
4本脚のテーブルを作り、 その上にボウルを載せればできあがり、
そんなつまらない流し台なら買った方が安い。
そこでロートアイアンによるデコレーションを施しました。
テーブルと言えば角パイプが安くて強いが シャープさを出すために20mm角棒を使用し、
前面脚はツイストを入れました。

 

 


天板は水が落ちるのでタイル張りを計画。
オールドイメージのタイルでデコレーション。
25mmアングルを天板の枠に
12mmコンパネで下地をつくり、
タイルをボンドで貼って目地を流します。
DIYの楽しさが残るシンクができました。



溶接のポイント
溶接による家具作りで一番問題になるところは溶接による材料の伸び縮みです。
溶けた鉄が固まる時に大きな力が発生して直角の精度が失われてしまいます。
これを防ぐためにしっかりとした固定台(溶接台)を用意してそこに厳重にクランプし、直角の精度
を安定に保持する必要があります。

シャコバイス
よく利用されるのがC型をしたシャコバイスです。ネジ式でしっかりと固定でき、狭い空間でも強く 固定できます。固定するまでの時間がかかることや、ネジ締めの力で材料がずれてしまうことが良く あります。価格もしっかりとした物は結構高価です。

バイスプライヤ
バイスプライヤはあまり見かけないクランプですが、鉄工の現場では沢山使用されています。クラン プは片手で操作する状況が多く、早く、簡単にクランプができることが一番のポイントです。
ロングノーズタイプはクランプ力が弱い物の狭い場所でも小さな隙間からクランプを掛けられます。
C型はクランプ点がテーブルの奥の方にある時に重宝するクランプで、20cm 位奥まったポイントで
もクランプできます。バイスプライヤは様々な形の物を2 つずつ備えておくと便利です。
溶接作業の写真にも登場していますが、バイスやクランプは溶接作業の必需品で、どこをどのように
クランプするかが良い作品作りのポイントです。アングル材や角パイプを補助的に用い、不可能と思
える部分でもアイデアを絞って固定しなければなりません。クランプ箇所があらかじめ予想できる場
合は、クランプ用の治具を製作しておくのも良い方法です。



 エレガントなアイアンスツール

アイアンらしい優雅さと、
しっかりした強度のアイアンスツール。
いろいろなデザインをいくつもデッサン。
S字曲線が感じいいスツールを製作してみました。
座面は直径300mm、高さは座りやすい450mm。
座面は2mm鉄板をシャーリングで25mm幅に切断、
50mmピッチで覆います。
きゅっと絞ったスタイルはマリリン風。
座ってみるとS字曲線がスプリングになりグラグラと不安定。

座って安定感のある形状は真っすぐな棒にかぎります。
直線の中に少し曲線を加えたスタイルであきらめ。
座面のリングは3×20mm幅フラットバー
足は11mm の丸棒を使用します。
パイプの方が強度が出るのですが、
曲げを入れるとつぶれて形が悪くなってしまいました。
足置きの補強も9mmの丸棒です。

座った時の安定感は確保されましたが、
見た感じは普通?。
まあまあエレガントに近づきました。



 靴箱はどこまでお洒落に作れるか


ロートアイアンイメージのシューズラック。
9mm丸棒のスクロールで
面白く表現できないか?
棚材はお気に入りのアマゾンジャラ。
赤い色のハードウッドは家具として美しい。
この赤色とアイアンの黒色はマッチするとイメージして
色々なデザインの中から
ハートを中心にあしらったスタイルをチョイスしました。

9mmの丸棒でフレームを作り、
ロートアイアンの飾りを溶接します。
12mm厚のアマゾンジャラは
塀の側面材として販売されていて質が悪いが安価。
木肌を楽しめるBRIWAX のHoneyで塗装。
素敵なシューズラックが完成しました。








 ハンガーラック

スクロールでくるくるだらけのハンガーラック。
こんなイメージでデザイン。
しっかり自立するスタイルを重視して
9mm×22mmのフラットバーを2本組合わせてみました。

22mmの曲げはさすがにきつい。
作業台が壊れるかツールが壊れるかという戦い。
アイアンはすごく熱くなる。

ハンガー棒は当初38φステンレスパイプを使用。
ピカピカステンレスは棒だけが浮いてしまう。
ハンガーで削れて塗装がはげるのを考慮したが、
質感の違いは避けられない。
やはり13mm丸棒の方がマッチします。
削れて錆が上がってもそれもまたいいのかも。

充分な重量と安定感のあるハンガーラックになりましたが
この角棒はややオーバスペック。
でも、しっかりずっしりしています。







 壁面を飾るアイアンパネル

ロートアイアンのデザインは
ただ飾るだけでもその美しさと力強さを感じます。

12部屋の玄関を飾るためのアイアンパネルを製作しました。

一つ一つ手作りなのに同じ物を作っても意味が無い。
異なる12のデザインの考案からスタートです。

デザイン作りはイラストレータが強い武器です。
曲線を生かす複雑なオーガニックラインを
自由自在にデザインすることができます。

溶接のすごさは接着剤のように
自由に鉄材をくっつけることができること。
デザインのイメージに制約はありません。




 

  

仕上げのグラインダ
溶接は瞬時に完了しますが、時間がかかるのはグラインダによる仕上げです。
スパッターが飛び散るので、ケレンハンマでおおよそたたき落とした後に、グラインダで仕上げます。
溶接箇所も予想外の盛り上がりや、パッとしない仕上がりでも、
グラインダで削ってしまうと分からなくなります。
溶接ビギナーはひたすらグラインダがけといった感じです。
ディスクグラインダは最近とても安価に販売されており、
複数台備えておくと大変便利です。
大きく削り取る時は60 番、仕上げ用は100〜120番を使用しています。
切断用には0.8mmの極薄型が適しています。

スクロールを含む作品の場合、スパッタ取りや溶接面の仕上げに便利なのはRYOBIの電気ヤスリです。
細いベルトサンダーといった構造で、グラインダが入らないスペースでも
10mm幅のベルトサンダーは強力に削り取って行きます。




 スタンドライト




ライトスタンドはスツールの脚。
スツール製作で、せっかく折り曲げたパイプを捨ててしまうのはもったいない。
眺めているとライトスタンドがイメージできました。
ライトスタンドは重いベースが大事です。
ライトの配線も隠すところが必要。
幅100mmで7mm厚のフラットバーを切断し、さらに20mm幅の
フラットバーを周囲に巻いて配線スペースを用意します。
重量のあるベースができました。



スタンドの電球ホルダーは63φのパイプ。
ここにE11ソケットを内蔵して
50φのLEDダイクロハロゲン球を入れました。
63mmのパイプは太すぎるかと思ったら悪くない出来映え。
ON/OFFスイッチも付いています。
塗装はゴールドイメージに仕上げています。

[注意]電気の配線は正しい知識が無いと危険です。
思わぬ火災の発生などにも結びつくのでご注意下さい。



 掲示板もアイアンがいいな

アイアンづくしのなかで掲示板だけ木製というわけにはゆかない。
アクセントのあるアイアンボードを考えてみました。
ボード自体はアイリスオオヤマの
ブラックボード(NBM-69)を利用。
黒色の鋼板に段ボールがセットになり、
木製の枠が付いています。
枠をはずしてサイズを合わせてカットしました。

アイアンの枠は13mmの角棒を使用
この角棒のカドに9mmの丸棒を無理やり溶接し、
アクセントを出しました。
こんな芸当は溶接だからできること。

取付は背面にフックを作って掲示板をラッチしています。



アイアン工作の材料
アイアン工作の材料はもちろん鉄ですがどのような形の材料が適しているのでしょう?
ちょっとしたオブジェ製作では丸い断面の丸棒が適しています。
9mmが使いやすいです が、加重がかかる時は13mmが適します。
アイアン家具作りでは断面が長方形のフラットバーをよく使います。
小物では3×13mmが適しています。
存在感を出すには4.5×13mm、強度を出すには6×13mmです。
リング状や帯状に利用する場合3×19mmが適しています。

50mm、70mm、100mmの幅広のフラットバーはしっかりしているので
台や治具フレームに使います。 パネルなどの枠取りには断面が正方形の角棒を使用します。
多目的利用では9mm 角で充分ですが、存在感を示す場合は13mm角といえます。
材料が13mmを超えてくると溶接機のパワーが要求されます。100V溶接機では60A程度ですから
13mmあたりが限界になります。ガスを導入するとパワーも上がります。
また、アースポイントの工夫などでも効果はあります。
鉄材の種類はいくつかあるようですが、アイアン家具には良く販売されている黒皮と呼ばれる鉄材が安価です。
ミガキ鋼と呼ばれる鉄材は3mm、5mm といった細い材料も揃っていて種類が豊富ですがやや高めです。
材料の購入はネット通販を利用すると便利です。
よく利用する「横山テクノさん(http://www.yokoyama-techno.net/)」は
多種の材料が揃っており助かります。やはり鉄は重いので送料が結構かかるところが難点です。
近くで買えるといいですね。
ホームセンターでも丸棒やフラットバーを少し置いているところがあります。(コーナン)





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